「無罪」判決。福島県立大野病院事件でわが国の医事紛争は歴史的な一歩を踏み出した。裁判では、公判の間に多数の医師たちがインターネット上で被告を擁護して世論形成していくという画期的な展開も見られた。事件を契機に、厚労省も医療界も医療事故の真相究明と再発防止に向け、「医療安全調査委員会」案や「無過失補償制度」案を打ち出した。それらは、遺族の切なる願いに応え、医療崩壊阻止につなげられるものなのか。
本誌の座談会では、産婦人科教授・岡井 崇氏、患者側弁護士・松井菜採氏、医療メディエーター・會田秀子氏、リスクマネジメントの専門家・辻 純一郎氏が互いの主張をぶつけ合い、トラブル回避のシステムづくりや双方の意識改革をめざして解決策を探った。 |